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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)1404号 判決 1950年3月15日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人神戸章の上告趣意第一点について。

原審が所論の如く被告人が執行猶予の判決を受け、該判決が昭和二三年六月五日に確定したことを判文に記載したのは被告人の判示第一の犯行につき刑法四五條、四七條、一〇條を適用して刑の量定をするとともに、これと判示第二の犯行とが併合罪の関係にないことを明示する必要上当然為すべきことをしたのであって、前の確定判決に判示された犯行につき再び審理裁判したのでもなく右確定判決の効力を動かすこともないから憲法三九條に違反するものではない(昭和二四年(れ)第一二六〇号事件同二四年一二月二一日言渡大法廷判決参照)。又人種、信條、社会的身分又は門地により差別をするのではないから憲法一四條に違反するものでもない。なお刑法の定むる処に從い諸般の事情を考慮して刑の言渡をすることが憲法一三條に違反するものでないこともいう迄もない(昭和二二年(れ)第二〇一号事件同二三年三月二四日言渡大法廷判決参照)。それ故原判決が右憲法各條違反なりとする論旨は理由がない。

同第二点について。

本件は旧刑訴の適用される事件である。旧刑訴の下において裁判所が勾留継続の必要ありと認めて保釈の申請を却下したことは違法ではなく、また原判決の違法を來たすべき事由でもない。それ故、論旨を採るを得ない。

よって、旧刑訴四四六條により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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